1枚のラベルが生んだ巨大なインパクト
〜社会課題を解決する、「伝わるデザイン」というもう一つの機能〜
(株)ファミリーマート
マーケティング本部 サスティナビリティ推進部 環境推進グループ マネジャー
原田 公雄

2016年9月より株式会社ファミリーマートにて環境関連業務に従事。2018年9月からCSR関連業務を担当し、「ファミマこども食堂」の立ち上げなど、地域・社会課題の解決に向けた取り組みを推進。2019年7月より再び環境関連業務に携わり、現在はサステナビリティ推進部 環境推進グループのマネジャーとして、食品ロス削減、プラスチック対策、温室効果ガス削減など、同社の環境施策を幅広く推進している。
1枚のラベルが生んだ巨大なインパクト 〜社会課題を解決する、「伝わるデザイン」というもう一つの機能〜
ファミリーマートは、食品ロス削減に向けた取り組みの一環として、消費者の共感を喚起する「涙目シール」を展開。「たすけてください」というメッセージとキャラクター表現を組み合わせることで、消費者に食品ロス削減への協力を呼びかける新たなコミュニケーションを実践している。
2024年の実証実験では従来のシールと比較して購入率が5ポイント向上し、2025年3月から全国展開を開始。2025年4~9月には中食廃棄量を前年比5%削減するなど、具体的な成果にもつながっている。印刷物を単なる表示媒体にとどめず、“消費者とつながるコミュニケーションメディア”として活用する取り組みとして、食品ロス削減における新たな可能性を示している。
<講演者の横顔:ラベル新聞2026年4月15日号>
共感生む「涙目シール」
食品ロス削減に高い効果、新たな展開も マーケティング本部 サスティナビリティ推進部 部長 大澤 寛之氏
国内最大級のラベル専門展示会「ラベルフォーラムジャパン2026」(主催・ラベル新聞社)が10月14日㈬から3日間、江東区有明の東京ビッグサイトで開催。7年ぶりに実施される「コンファレンス」では、国内外から招いたラベル関連の識者が市場動向や最新技術、活用事例などをテーマに講演する。本コーナーでは、登壇者と企業の事業展開をリポート。第2回は㈱ファミリーマートマーケティング本部サステナビリティ推進部部長の大澤寛之氏を紹介する。
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ファミリーマートでは現在、環境中長期目標「ファミマecoビジョン2050」を掲げ、2030年および50年を目標年としたうえで▽CO2排出量の削減▽プラスチック対策▽食品ロスの削減、以上の3テーマに取り組んでいる。
中でも食品ロスの削減については、全国の店舗で発生する食品ロスを30年度までに18年度対比で50%削減といった目標を示し、さまざまな施策を推進する。大きな施策として21年7月から、消費期限が近付いた食品の値下げ販売を開始。大澤氏は「コンビニはこれまで、定価販売のイメージが強かったと思いますが、近年の値下げ対応により廃棄数量は減少しています。消費期限の近い食品に値下げシールを貼付したところ、半分程度が売れるようになりました」と話す。
それでも30年度の50%削減には十分といえない状況だった。そこで新たに導入したのが「涙目シール」。同シールには「たすけてください」の文字と涙を流すおむすびのキャラクターをデザインした。
開発過程では「STOPフードロス」のメッセージやさまざまな表情のデザインを検討。消費者インタビューを実施した結果、おむすびのキャラクターと「たすけてください」のメッセージがより直感的に伝わるという評価が数多く得られた。
大澤氏は「当シールは単なる値引き表示ではなく〝共感〞を生むデザインを目指しました。店舗側の都合として受け取られるのでは、との心配もありましたが、デザインとメッセージの組み合わせにより、実際には『商品が助けてほしいと訴えている』と受け止められる傾向を確認。商品の擬人化が共感を得ることにつながったと認識しています。24年10月に東京と神奈川の6店舗で行った実証実験では、従来の値下げシールと比較して購入率が約5ポイント向上。この効果が全国で同様に得られたと仮定した場合、年間で約3000㌧の食品ロス削減が見込まれます」と説明する。
このような高い成果に基づき、涙目シールは25年3月から全国展開を開始。現在も、涙目のおむすびはファミリーマートの店舗で食品ロス削減への協力を消費者へ訴え続けている。さらに同社は新たな展開として、おむすび以外のデザインを登場させるとともにフリー素材化を実施。食品ロスの削減に向けた取り組みを社会全体へ拡げる試みを推進する。すでに一部小売店では新デザインによるシールが活用されている。
大澤氏は「このほかにも涙目シールの新たな取り組みを検討しています。シールのデザインを変えただけで、これだけ食品ロス削減の効果が出るという点で非常に意義があると考えています。10月のコンファレンスでは当シールがもたらす具体的な効果に加え、その取り組みを発表できればと思います」と語っている。

おむすびの訴えに消費者も共感